東京スター銀行を意識する理由
〈需要側〉の立場から見れば、景気は資産価格の膨張によって高揚するわけであるから、上記のような金融機関の体質改善に対する見方は一変する。
現在、アメリカはバブルの真最中であり、バブル期には何にどう投資してももうかる。
また、各種デリバティブの開発による金融市場の拡大は、ただでさえ実体と離れて危険なまでに拡大している流動性を、さらに拡大へと駆り立てていく。
このことは、80年代バブル期の日本でも同じであった。
人は株式投資、不動産投資から、ゴルフの会員権や絵画まで、何に対しても投資してバブルを一杯まで膨らませ、これによって崩壊以前までは、ほとんどの人がもうかった。
そこでは、効率的な資産投資をしているから、皆が金持ちになっていったというよりは、ただの紙である株券や土地の権利書が、その裏付けとなっている企業や土地の収益性を反映した実体価格をはるかに越えて、どんどん高くなっていったため、皆が金持ちになったと錯覚したと考えたほうが正しい。
ここで錯覚とはいっても、各個人にとっては錯覚ではない。
売れば現金が手に入り、それによって物を買うことができるからである。
経済全体から見れば、ただの紙に価値があると信じ、その価値を膨らませ続けるのであるから、錯覚なのである。
たとえば、日本の土地価格が全米の土地価格を超えた、それどころか二倍だといっていたが、実際持っている人が一度に売り出したらそんな価値は維持できないであろうo〈供給側の経済学〉がいうように、株価や地価が実体を反映しているならば、皆が売ろうが買おうが、その価値に変化はないはずである。
このように、長期的には破局が来るにしても、短期的には幸運をもたらすバブルのおかげで、いまのアメリカの各銀行は世界一になっているのにもかかわらず、体質改善のおかげであると判断し、日本は乗り遅れているというわけである。
思い返してみれば、バブル期には日本の銀行が世界一といっていた。
それではこの10年弱の間に、世界一から経営危機になるほど日本の銀行の体質が変わったのであろうか。
そんなはずはないであろう。
銀行が保有している土地や株式も、また各企業への債権の内容も、すべてまったく同じであったとしても、いま皆が、地価や株価がバブル期の水準を回復したと信じたとたんに、不良債権は一気に優良債権となって、日本の金融機関は再び世界一であるというであろう。
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